2007年12月31日月曜日

書き出すことの重要性

大人になってからかなり過小評価を受けている行為の一つに、アウトプットをしないということがあると思います。アウトプットをしないのはどういうことかというと、自分の思っていることなどを書き出すということをしないということです。自分の思っていることを書き出さないとどうなるかというと、考えをまとめることが出来なくなっていきます。人は目の前にある問題を問題と認識しているつもりでも、それを理解し、解決策を出せる能力を持っているにも関わらず、それに気づくことなく時間を無駄に過ごしてしまう場合が多々あります。アメリカで良くいわれている医学のことわざの中に「正しい診断は、治療の半分を占めている。」というものがあります。つまり、問題を正しく認識することによって、その解決策の半分は分かっている状態になるということです。

正しい認識を得るために一番効果的な方法は何か?というと、単純に紙に書き出すということです。紙の上に問題点を書き、その周りに何故それが問題なのか?どのように解決したいのか?いつまでに解決したいのか?などを書いていきます。脳のトレーニングのためには問題一つを書き出したら、それを解決する方法を20個以上書き出すことをお勧めします。最初の2〜3個の解決策は簡単に出ます。10個くらいにさしかかると、とても難しくなります。20個を書き出すのは困難を極めることでしょう。しかし、どんな下らないアイディアでも良いので、脳に浮かんだ瞬間、紙の上に書き出していくといいでしょう。そして20個書き出した時、あなたの思いは以前よりもすっきりし、例えそれらの解決策が瞬時に問題を解決してくれなくとも、その中から一つを選んで行動し始めれば、脳が無意識に働き出し、自動的に最良な方法を導いてくれます。

アウトプットには様々な方法があります。それは人のとるコミュニケーションの方法に様々な方法があるのと同様です。紙に書くことから始まり、歌や詩、映像や写真、絵画や彫刻などのアート、スピーチやプレゼンテーションなど様々です。これらはどれも脳の能力を引き出すことを必要とします。そして文字や音、映像などのさまざまな組み合わせを用いることによって、より伝えたいことを分かりやすく相手に伝えることとなります。何故、相手に分かりやすく伝える必要があるかというと、人間の問題の大半は他の人間を何らかの形で説得することが解決策になるからです。会社を持っているなら、事業計画を説明し融資を銀行から取り付けるのが必要ですし、社員にやる気を出して貰うために、会社に携わることでどのようなメリットがあるのか、社会貢献出来るのか、給料が増えるのか、福利厚生が得られるのかなどなど、それらを相手のやる気に繋がるように説明出来る力をもつことによって、よりよい成果へと繋げることが出来ます。また、恋人や親と子、家族間や親戚、近所付き合いといった、人間関係のいざこざもより良いコミュニケーションをとることによって解決出来る問題は数多くあります。しかし、自分の考えを整理することなく人といきあたりばったりで問題点について会話をすることは、勉強をせずに試験に挑むようなものです。多くの経験を積んで慣れているならいざしらず、大抵の人は日頃の練習を怠っている場合が殆どです。大勢の前で演説を行なう大統領ですら、数週間も前から練習を重ねます。ましてや一般の人なら、普段なんのトレーニングも行なっていないのですから、行き当たりばったりで良い結果が生み出せる状態にはならないでしょう。

このような状態を変えるのに日頃行なうべきことがアウトプットなのです。つまり、頭の中だけで考えるのではなく、紙の上に書き出すといった出力を行なうことによって、思考と言う世界から現実の世界に物質化する必要があります。紙の上に書かれた文字は他の人とも共有することが出来ます。それについて話すことが出来ます。話した内容を紙に記録すれば、それらをまとめることが出来ます。ただ話すよりも、記録しながら話すことで、お互いの相互理解をより詳細に得ることが出来ますし、言った言わないなどのトラブルも防げます。こうした単純なアウトプットを視覚化する方法を用いることによって、日頃得ることの出来ない驚くべき成果を瞬時に取り入れることが出来るのです。

画像にあるマインドマップのように、中央に考えたいことを書き、その周りにトピックを広げていく方法を使うと、脳に眠る多くの視点を取り出すことが出来、いつも以上にアウトプットを取り出すことが出来ます。そして、それらをまとめることで、多角的に物事を考える手助けが得られます。この方法の優れた点は絵や色分けなどを導入することによって脳に様々な刺激を与え、より記憶に留める効果や、トピックから連想される言葉を書き出していくことで、自分が思っている以上の情報を脳から取り出せる点にあります。このマインドマップを利用したノートの取り方をケンブリッジやオックスフォードで導入した結果、学生の成績が劇的に向上したという研究結果もあり、子供のうちから学ばせることによって、年齢とともに低下する想像力を活発に保てるという効果も期待されています。

また、ブログにその日の出来事を記録することも効果的です。一日を振り返ることによって、様々な行動の改善点が見えて来ます。その時、その場所で、何故そのような行動をとったのか?今、それらの経験を踏まえた上で、同じような状況に立たされたら、どのように振る舞うか?

歴史は繰り返すと言いますが、歴史から学べない人間は馬鹿であると言えます。そして多くの人が歴史から学ばずに過ごすのは、こうしたアウトプットをおろそかにし、そこから反省し改善していけることを見過ごして日々を過ごしてしまうからです。自分の行動を記録し、そこから自分を観察することによって、より良い自分の行動指標を取り出すことが出来ます。そしてそれを明日から反映していけば、日を追うごとに確実に賢い自分を発見していくことでしょう。そんなわけで、書き出すことというのは驚くほど重要な行動なのです。

さいわいネットの発達によって簡単にアウトプットを行なうことが出来、またそれを観た人々から時に優れた解決策や気づかなかった新たな視点を貰える機会に恵まれる時代となりました。こんな素晴らしいツールを使わない手はないですね。



ザ・マインドマップ



マインドマップ for Kids 勉強が楽しくなるノート術

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