2008年1月11日金曜日

紳士淑女に仕える我々も、紳士淑女です

伝説のサービスで知られるリッツ・カールトン。このホテルが東京にオープンしてから伝説のサービスを期待していった人々が数多くいるわけですが、その中でもがっかりしたという意見も比較的多くあります。基本、オープンしたてのホテルというのは、働いている人々の連携も上手く機能していない場合もあるし、客室をお客様の立場で見る機会も、そこから上がって来る声も少ない状態なので、期待を超えるのは難しいことかと思えます。

リッツ・カールトンでは、通路を歩いていた女性が今日が誕生日であることを話しているのを聞いていたハウスキーピングの女性が、その二人が食事をしている間にレストランの係に花とケーキを渡し、食べ終わったタイミングでハッピーバースデーの歌とともに出して感動させたという話があります。この女性が旦那さんにその感動を伝えたところ、その人の会社の宴会をリッツ・カールトンで行なうことが決定されました。ホテルには数千万円の売上となったそうです。

リッツ・カールトンでは従業員個人一人一人に一日20万円の決裁権を与えています。通常のホテルですと、従業員がお客様へ何らかの出費を伴うサービスを提供したい場合、上司であるマネージャーに許可をとる必要があります。会社であれば、稟議書を回し、上司の許可を得るといったところでしょうか。ところが、その許可を得る際に上司がその場にいなかったり、決定に時間がかかってしまうと、上記のレストランで食事をする女性に感動のサービスを生み出すことは出来ませんでした。こうした仕組みがリッツ・カールトンに強さを与え、サービスの向上を行なうことが出来ます。

こうしたサービスを期待して多くの人々がホテルにやって来るわけですが、ただ普通に滞在していても素晴らしいサービスがやって来るわけではありません。何回も滞在することによって、自分の好みを把握され、部屋のセッティングなどに反映されて、それが心地良さへと進化していくのです。例えば、ミネラルウォーターをよく飲まれるお客様には、部屋に入ると多めのミネラルウォーターが置かれているといった具合です。好みのカクテルがあるお客様には、次回バーへ来られた際には、そのカクテルをお出ししましょうか?と聞いて来るでしょう。なんの宿泊履歴も持たないお客様がやって来ても、素晴らしい体験のスタート地点でしかないのです。

また、従業員の決裁権を期待している人々もいますが、基本的にリッツ・カールトンでは値引きをすることはしません。宿泊した人には部屋に御花が届けられていたとか、ケーキが置いてあったという人もいますが、そういうのは予約の際に彼氏さんがサービスをリクエストしているというのが本当のところです。記念日であるとか、誕生日であるとか伝えると、予約係の人が『フラワーアレンジメントは必要ですか?ブーケやプリザーブド加工も出来ますし、花びらに文字をお入れすることも出来ます。ケーキにはメッセージを添えましょうか?』と聞いてくれるわけです。もちろん有料です。何もしないで待っているだけで従業員が決裁権を使ってシャンパンや花が届けられるわけではありません。この辺が注意が必要です。というか、変に期待するのは虫が良過ぎます。たかりですか?

基本的にホテルはリピーターを大事に育てて売上を伸ばすビジネスですので、頻繁に利用することが良いサービスを受ける良い方法だと思います。中にはリピーターを大事にしないホテルもありますが、そういうところは使うのをやめれば良いだけですので。




リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間



リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功の法則

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