2008年3月9日日曜日

東京ホテル戦争:新宿で失望し、六本木で感動する

本日は知り合いの助けになればと、ホテルの下調べをして歩いていた。そこで分かったサービスの違いが妙に印象的だったので、ここに書いてみようと思う。

実際に行なったことは、同じ質問をホテルのコンシェルジュにし、その反応をチェックすること。

先に結果を書くと、
最初の場所では失望、
次の場所では落胆、
最後の場所で感動を
それぞれ味わう結果となりました。

質問の内容、ある国にビジネス目的で旅行に行くのですが、
・その国の同ブランドのホテルに日本人スタッフはいますか?
・その国でビジネスが出来る企業を捜そうと思うのですが、タウンページのようなものでも良いので関連する業者さんを、実際に現地に到着する前にリストにしておいて頂けないでしょうか?


新宿Hホテルの対応
汐留にフラッグシップホテルのある有名な某有名ホテルブランドのホテル。上記の質問内容を尋ねると、コンシェルジュの人は現地のホテルの電話番号を調べて手書きでメモしてくれて、それちらに問い合わせて下さいといった対応となった。ちょっと予想していたよりも冷たい印象。そのくらいだったら自分でネットで調べることは出来るんですけどね。直接ホテルに来たわけですので、それ以上のサービスは欲しかったかも。(とは言え以前誕生日に泊まった時には部屋がジュニアスイートにアップグレードされ、シャンパンも無料でプレゼントされたので、実際悪いホテルじゃないんです。)

東京のこちらのホテルの対応はさておき、直接現地のホテルにメールで問い合わせると、かなり親切な返事が届いた。これはとても素晴らしい対応でした。そうなると思うことは、んー、大丈夫か東京のスタッフ?ってことなんですが。個人的に海外のホテルにも色々と滞在しましたが、同じブランドのホテルでもやはり日本でのサービスの良さが際立っていたことを強く実感していただけに、今回の日本人の対応に失望です。


新宿PHホテルの対応
こちらも有名なホテルブランド。特にこのホテルはハリウッドスターにも愛される素晴らしいホテルです。通常一泊最低でも6万円以上する最高級ホテルの一つですね。今回の質問をしてみたところ『お泊まりしているお客様でしたらお時間の許す限りお調べすることが出来るのですが、ご宿泊されていないのため、お調べするのにお時間がかかる場合、ご連絡が出来なくなってしまうのでご対応することが難しい状態です。現地のホテルの情報をプリントアウトしますので、こちらをよろしければ御参考までにお持ち下さい。また、現地に日本人スタッフがいるかどうかも分かりませんが、、、多分いないんじゃないでしょうか。』とのこと。接客態度は同ホテルブランドの中でも最高のホテルなだけあって、とてもフレンドリー。でもまあ、これくらいのことはネットがあれば簡単に調べられることです。なので足を直接運んだのに見合った成果ではないので、こちらでもちょいとがっかり。とはいえ接客が素晴らしいのは好印象。

徹夜していて眠かったので、帰りにレストランでコーヒーを頂いたが、スタッフの接客がとてもやさしく、またベストなタイミングでお代わりを持って来てくれたりと気が利くので、良いホテルだなというのは強く実感。ファンが多いのも頷ける。

ちなみに最初のホテルと同様、同じ内容の質問を現地のホテルにメールにて問い合わせをすると、かなり良い返事を送ってくれました。評判に恥じない素晴らしいサービスですね。


六本木のRCホテルの対応
実はこの質問、こちらのホテルに質問すべき内容じゃないのです。理由は、その国に同ブランドのホテル自体が存在しないから。なので、基本的にホテル側にとっては利益にもならないし「そんなの知るか」って話なのだが、ここで伝説のサービスの素晴らしさを体験させられることとなります。

新宿で期待はずれに終わったこれらの質問を、こちらのホテルのコンシェルジュの方に恐る恐る質問してみると『そちらの国で働いていた経験を持つものがおりますので、今すぐお呼び致します。』と言われる。ラウンジでハーブティーを注文して待つこと数分(って殆ど待ってない)、質問の国に滞在経験のあるスタッフの方が来てくださった。そこで現地のお勧めのホテルの情報だとか、その国の簡単な国民性の説明や現在の実情等を始めとし『ビジネスサポートといったことに関しては、我々の専門ではないため出来ることにも限りがございますが、この種のコンサルタントの方や、こういう場所が現地にありますので、そちらで聞くのがよろしいのではないかと思います。』といった情報などを懇切丁寧に説明してくれた。超感動!!他のホテルとのこの差は一体全体何?同じ質問をしているだけなのに、得られる反応はこうも違うのか?とショックを受ける。


今回同じ質問を通じて分かったことは、宿泊費や利用料金に差はあれど、ホテルのサービスレベルが全然違うということ。当然高い方がサービスも良かったのは言うまでもないことなんですけど、これらのホテルはどれも安いホテルではありません。だからこそ、一度でも嫌な気分を感じたら、そこは二度と利用しないんだろうなってこと。いくら安くても失望を感じるとその料金は理不尽なものに感じてしまいます。

例えば家族で旅行する時、恋人と思い出を作りたい時、親孝行として親へ旅行をプレゼントする時などには、確実に良い思い出が残せるようにベストを尽くすことでしょう。そういう時に期待を裏切らないでいてくれるサービスがあるのなら、それはいくら高くても文句は言わないですし、そちらを優先して選びます。逆にいくら安くても失望を味わうことになれば、それはとても高くつくと思います。人間は得られた反応に対して感情を起こし、そしてその感情を論理で正当化する生き物ですので、何をするにしても相手に与える感情がとても重要となるでしょう。それは些細な言葉の言い回しだったり、表情だったり、姿勢だったり、受け答えだったりします。この何気ない言葉や態度が、すべてを決定する要素にもなりえるのです。

今回一番の感動を与えてくれたホテルブランドの最高経営責任者の人が、サービスについて語った話があります。

サービスとは、

サービスとは決してNOと言わないこと。
自分の都合ではなく、お客様の都合で動くこと。

今回前者2つと後者を決定的に分けた違いは、まさにこの自分の都合を優先するか、相手の都合を優先するかの対応だと思います。前者2つのホテルの対応は、お世辞にも素晴らしいものとは言いがたいものです。何故かと言うと、そうした情報というのは、現代においてはネットで1分もかからず手に入る情報だからです。これでは感動がありません。少し考えれば分かりそうなもんですけど。もちろん何にでもNOといわなければ良いってわけではないですし、そんなことは不可能なわけです。何か難しいことを頼まれた時でも『お時間がかかってもよろしいでしょうか?』とか『多少高お金がかかってもよろしいでしょうか?』と聞くのはOKなのです。それは、自分の都合ではなく、相手の都合を優先しておりますし、NOと言わないことにも繋がるからです。人的資源や時間的資源には限りがありますが、それでも相手の満足に繋がるやり方ってのはあることでしょう。

まあ、そんなこんなでほぼ丸一日をかけて色々と歩き回りましたが、非常に良い勉強になりました。今後もこの伝説のサービスを提供するホテルは、自分の楽しみだけはなく知人をもてなす際にも頻繁に利用することになりそうです。ホテルにとっては、こうしたリピート客を得ることってのが最高の利益なんじゃないでしょうか?と思うわけですが、そうした長期的な視点を持ってサービスを提供してくれるのは、利用する側にとっても嬉しいですし、お互いに得をする話ってのは本当ですね。



伝説のサービスについて書かれた本はこちらがとても読みやすく、また勉強になってお勧めです。



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